「あ〜あ、あぁぁ? あぁ、ああぁ、ああ!
 そうなんだ? 僕に内緒で? 神様と?
 うは、はぁ、はぁはあ? そうなんだ?」

 赤の絶望。
 目は口ほどにものを言う。
 その口が絶望を囁くのなら。
 その瞳は絶望に染まりきっていようか?

「君と、僕と、君と神様と、バランスは?
 僕はイラナイよね? 君と君と神様でバランスが成立する」

 僕はいらないよねと。
 叫ぶ心を見た気がした。
 だから、だからこそ。
 揺れる彼女は何も言えず。

「必要に決まってるでしょ。何を言ってるのよ、ユウ」

 希望の青は言い放つ。
 赤い絶望を呑み込むほどの強い青。
 二つの眼差し、二つの色。
 四つの瞳が見つめ合う。
 笑うのは赤。笑うのは青。
 克つのは絶望、克つのは希望。

「私たちは三人でパーティーよ。
 あなたがいなくて誰がご飯を作るのよ。
 ケーキもどうするの。ちゃんと考えなさい」

 強い。
 強いよね。と笑う。

「アハハ。それも……そっかァ」

 瞑目。

「僕がいないと二人とも飢えちゃうね。
 ごめんごめんご?」
「言い回しふるっ!!」

 開いた双眸の色は黒。
 日本人特有の色。
 いつもの色。

「おわびにケーキ焼きなさい、ユウ」
「おいおい」
「いいよん。任せてよ〜」
「いいのかよ! ノリ軽いなお前!!」
「僕の長所だよん?」
「短所にもなりそうだけど」
「シッ! ユウは気付いてないんだから」
「聞こえてたら意味なくな〜い?」

 三人の姿が消える。
 もしもこの世界が仮想のモノならば。
 プレイヤーは気付いていたのかもしれない。

 赤い、赤い、赤い。
 僕の色。
 君の色は青。
 僕と君の間には君がいる。
 紫の…………

 どちらに染まるのかな。
 僕か――君か。

 あか、アカ、アカ、アカ。

 ゼツボウノアカ。