頭は酷く冷静。
 酷く冷静に僕は探してる。
 回復アイテムは?
 蘇生アイテムは?
 便利な魔法は?
 リセットボタンはどこだい?

「ユウ! やべぇよ、このままじゃ……!!」
「大丈夫だよ? 絶対、大丈夫だよ?」
「ユウ! 無茶しないで!」

 声が遠い。
 痛い。
 痛い。
 痛い。
 便利な魔法なんて素敵なものじゃない。
 派手な演出と便利な魔法は素敵じゃない。
 僕を蝕む。
 痛い。
 痛い。
 苦しい、痛い。

 これだけの犠牲を払って何一つ救えない。
 魔法って奴は不便で仕方ない。
 こんなファンタジーなのにリセットボタンもない。
 開発者は何考えてるんだろう。
 リアリティがあればいいってわけじゃないだろ?

 痛い。
 熱い。
 痛い。
 苦しい。

「ユウ!!!」

 ルイの手が酷く冷たかった。

「もう……やめろ……もう、な……」

 俯いてる。
 諦めろと囁いた。
 そうして僕はやっと気付いたんだ。
 両手を濡らしていた感覚がないことに。

「ユウが悪いんじゃないのよ……悪いのは――」

 歪みが、すべて、悪い?
 冷たくなった友達に触ってぼんやり考えた。
 歪みが悪い。
 歪みのせいで。
 バランスが崩れる。
 歪みが悪い。
 歪みのせい、歪みのせい。

 歪みに負けた僕のせい。

「……ユウ?」
「はかないなあ……はかないなあ……はかない、はかない」

 痛い。
 痛い。
 熱い。
 痛い。
 痛い。
 熱い。
 熱い。

 苦しい。

「あ〜? 墓ないね? 代わりになるものあるかな〜」

 振り返った僕の顔にルイが言葉を無くしてる。
 君の目に僕はどう見えてるのかな。
 笑えてないのかな? それとも……

「おい! ユウ!」

「なぁ〜んだいっ?」

 絶望の赤。

 揺れる紫。

 僕が僕でなくなる感覚。
 僕が僕になる感覚。

 痛い。
 痛い。
 痛い。
 痛い……あぁ、気持ちいいくらいに痛い。

 笑いが止まらないよ。