飼い犬に神様が降りてきたよ。
 神様は言ったんだ。
 僕たちに世界を救えって。

「おい! 楽しいそうだなっ」

 嘘みたいだけどほんとの話。
 ルイは大喜び、ゲンは呆れ顔。
 僕は?
 僕はいつもと同じ。
 えがお。
 ニコニコ、ニコニコ。

「ユウもそう思うよな! 行こうぜっ」
「うん。ルイ(キミ)が言うなら行くよん」
「ほんとに二人はラブラブね……呆れるわ」

 ゲンはいつだって呆れ顔。
 だって僕たちのバランスはこうなんだ。
 これでいいんだよ、そうは思わないか神様。
 犬の顔した神様はくしゃみしながら僕たち見てる。
 心配そうに、心配そうに。
 何が心配なのかと考えても僕には分からない。
 でも僕は考えるよ。
 理由はね、神様が代弁してくれる。

「恐れぬということは勇気でもある。
 だが、無謀であることは生きることへの怠慢でもある」

 そういうこと。
 勇者と魔王の本を捲る。
 僕は考える。
 考えて、考えて、考えようか。
 魔王の瞳が金色の理由を。
 二人が同じ顔の理由を。

「てか、ユウが僧侶っておかしくね?」
「くろまどうしの間違いでしょ」
「二人とも酷くない? 僕だって〜」
「お前はケアルとか叫ぶよりも、デス! だよな」
「レベル5デスとか得意そう」
「失礼じゃない? つか失礼だよねぇ?」

 ニコニコ。
 ニコニコ。
 まるでゲームのような姿。
 三人で手を取り合わない。
 まるでトランポリンの上に落とされたみたいに。
 僕たちは外へ行くんだ。

 ちきゅう、のそと。

 きっとこの地球とは違う地球の外だ。

 だって僕たちには体力のゲージもあって。
 怪我をしても寝れば治るんだから。
 きっと、死んでも生き返る。
 リセットもある。

 きっと、そう……そうに、違いない。

「すべての存在は歪みを宿せば魔物と化す。
 気をつけなされ、小さき英雄たちよ」

 歪み=倒すべき敵だそうで、ラスボスだそうで。
 始まった過去を僕は傍観していこうと思う。
 みていてごらん。
 僕たちが成るべくして成った意味を。

 勇者と魔王の末路を。