今日が今日で明日が明日で。
 何も変わらないなら寧ろ俺は幸せな部類だと思う。
 ついでに言えば、毎日何も変わらないのが俺の日常。
 ふわふわふわふわふわふわしてる。
 まぁ、考えてみると世の中には毎日がスリル満点なやつとかザラだし。
だったら俺はやっぱり幸せ者だと思うわけ。
 これをお前がどう思うかとかは別にどうでもいいことで。
 俺は俺らしく今日も生きていければいいと思うのよ。
 んで、お前はどう思う?
「知るか。お前のことだろ、お前で考えろよ」
 そんな冷たいこと言うなよ。俺たち親友だろ?
「自分から親友とか言い出すヤツは信用できないって」
 お前がそんなに薄情なやつとか思わなかったし。
 やってられないね。お前なんていなければいいのに。
「お前はすぐそうやって……もういいよ。おれもお前なんて知らない」


 こんな感じで今日も明日も変わらない感じでのらりくらりと。
 誰が消えても誰がいても結末は同じなのが俺の理想。
 毎日毎日同じことの繰り返し。
 なんてリピート人生。
 素敵だろ。


「たまには変化欲しいよな?」
 あぁほら。
 また新しいのきた。
 どうせいつもと同じ。明日も今日も全部同じ。
「お前は確かに幸せ者だよ。自分の世界がすべてで生きてられるシアワセ者」
 なんだか皮肉みたいだと思った。
 あんまり好きじゃない。いつもと違う物言いは、俺は嫌い。
「嫌いで結構。オレはお前に好かれるつもりなんて毛頭ないからね」
 生意気言うお前はもっと嫌いだ。
 いっそ消えてくれ。
「今までのヤツらはそれで消えたんだろうけど。
 オレは消えないよ? 今日も明日もあさっても、ずっとここにいてやるよ」
 生意気。
 お前らなんて……
「おまえらなんて、なんだよ? 言いたいことがあるなら言ってみろよ。
 いえないよな? お前はシアワセ者だからな。シアワセ者は楽園から出て来れないんだ」
 何だお前。
 ダレダオマエ!
 気色悪い! こんなやつ知らない! 俺はお前なんて知らない!
「そりゃそうだ」
 笑う。笑う。笑う。
 あぁぁ、腹が立つ。
 いつもと違う。
 違う。違う違う違う!!!!!
 そんなの赦さない。
 今日も明日もずっと一緒。
 変わらないのが俺の日常で、俺の幸せなのに。
 余計なコトしやがって!!!
「ま。怒るな怒るな。お前も疲れただろ? 休んでいいって言ってんだ。
 むろし感謝してくれよ? お前の出番がやっと終わるんだからさ」
 笑ってる。
 笑ってる。
 何で笑う。
 頭が痛い。違う、違う。変化なんていらない。
 同じで良い。
 ずっと、ずっと。
 白い部屋で、同じで良い。
「おやすみな?
 もう二度と、お前は出てこなくていいぞ」
 嫌だ。嫌だ……
 俺は、俺は。
 ずっと、毎日……同じで。
 変化なんて。
 今日が今日で、明日が明日で――――――



「調子はどう?」
 白いカーテンが風にたなびく。
 手の平で白い錠剤を弄んでいた青年は薄笑みを浮かべ、
「この薬、いいですね。凄く気分が良い」
 上機嫌に呟いた。

 

※これは「ものかき同盟」様で行なわれた30分小説です。
 お題は「日常からの変節」です。
 誤字脱字もそのまんまです。