はじめまして
 僕は名のない存在です
 あえて言うなら

 夜にしか生きられず
 月を見上げる運命のもの

 月が昇り
 そして太陽が昇るまで
 僕は糸を紡いでいるのです

 細く 細く 脆い糸
 僕の紡いだ糸
 それは誰かが引っ掛けて
 そして誰かへと繋いでいきます

 夜闇に紛れて
 僕の糸が引っ張られた

 本人も気付かないうちに
 僕の糸を
 紡いだ糸を誰かに手渡している


 そう
 星空に見下ろされて
 彼女であり 彼は誕生しました